サボテン・多肉植物の輸出入について

サボテン・多肉植物の輸出入について、一般的な目線で分かりやすく紹介してみます。
サボテン・多肉植物類の輸出入については、一般的に大変複雑で事務手続きが困難で時間ばかりが掛かると思われています。お役所の申請手続きというのは他の申請手続き等と同じでたしかに複雑です。しかし、それは申請→許可の形で正副を伴うので枚数がやたらと多くなるだけです。しかも、お役所という所は内容うんぬんよりも形式重視の立場です。ここが日本的なお役所の弱点ではないでしょうか。ようするに一語一句形式(ヒナガタ)どうりに作成できれば、まったく問題ありません。そして、この輸出入に関しては国によってその法令は厳しかったり緩かったりまちまちです。ここでは、もっとも厳しいといわれているユーロ圏の国への輸出について紹介します。        

第一に行うこと;
それは、植物防疫所(農林水産省管轄)へ行くか連絡を取ることです。ここで相手国名を告げ、その国の輸入条件を聞きます。今回の輸出先はチェコです。チェコ、スェーデン、ノルウエーなどは園芸国家といわれ、植物の輸入条件が最も厳しいといわれています。ここで”栽培地検査”を受けます。輸入しようとする植物にウイルス又はそのウィルスを媒介する病原虫(ハモグリバエ、タバココナジラミ、貝殻虫、線虫など)の完全駆除が条件となります。この条件を満たすには、次の検査(栽培地検査)を受けなければなりません。輸出しようとするサボテンを従来栽培しているハウスから隔離して、1週間1度の検査を9週間受け続けます。これが栽培地検査です。わたしの場合、市販の2段式ガラスケース(w150センチ×d60センチ×h180センチ)の中で検査を受けます。100本ぐらいの苗が収容できます。この9週間の検査というのは前述の病原虫等の卵が孵化してくるサイクルを見込んでの期間です。この期間の検査は目視です。そして、9週目検査の時に上記の病原虫等の駆除剤を散布し、その培養土を持ち帰り土壌検査を行い問題なければ栽培地検査合格証が発給されます。そして同時に”植物等輸出検査”の合格証をもらいます。これは、あとで述べる輸出入CITESの合格証と共に税関へ提示し梱包内に収めます。又、この梱包する箱に2箇所の合格印を押してもらいます。ここで重要なことは輸出しようとするサボテン類は、全てここの温室内で実生され栽培、接木されたものであるということを見てもらい、確認してもらうことです。他から仕入れた場合は、その仕入先での検査を受けなければなりません。このことはCITES申請のときにもでてきます。(要注意)又、隔離栽培のケースの回りに除虫粘着テープを数多くぶらさげておいたり、ケースの底部分にダイジストンを水に浸して置いておくなどすると検査官の心証を良くするものです。栽培地検査はCITES申請と違って対人検査が9週間も続きます。そこにはコミニュケーションが生まれ、植物防疫に関して真面目に取り組む姿勢をみてもらい、信用を勝ち取ることが大切です。わたしの場合はハウスから植物防疫所・税関まで車で7〜8分の所でしたのでラッキーでした。詳しくは 農林水産省 植物防疫所 http://www.maff.go.jp/pps/

第二に行うこと;
輸出”CITES”の取得です。(経済産業省管轄)
CITESとは以下の省略です。
Convention on International Trade in Endaugered Species of Wild Fauna and Flora意味は<絶滅のおそれのある動植物の種の国際取引に関する条約>で平成4年法律第75号として制定されました。サボテン類は全て CITES 附属書T又はUに各当します。附属書Tに各当するサボテンは輸入された標本球にまでさかのぼって追跡調査をし、その証明を出さねばなりませんので先ず不可と思ってください。
わたしが今扱っているサボテンは現在、ユーロ圏内で大人気のAstrophytum myriostigma (ランポー玉の日本新園芸種)なので問題ありません。わたしの場合、そのほとんどが接木苗なので首下5〜6センチにカット、実生苗などは根をきれいに洗浄し乾燥させて申請します。
申請書類
1) 輸出承認申請書 2通
  ワシントン条約(CITES)(METI/経済産業省)
  http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/cites/index
  以上のwebを開き提出書類一覧の
  1) 輸出承認申請書類の WORD形式 を開き書き込む
2) 輸出承認申請書(商品の明細及び単価表) 2通
  裏面書き込み 又は数が多い場合は別紙作成添付する。
3) 輸出承認申請理由書 1通
  ヒナ形を参照して作成。
4) 絶滅のおそれのある動植物の種の国際取引に関する条約に基ずく日本国輸出許可申請書 3通
  この申請書のみ指定の用紙を購入 手書きは不可 全て英語でタイプ打ち
  購入先 社団法人 大阪貿易協会 TEL 06-6262-5242
5) 日本国輸出許可申請書 2通
  上記のwebを開いて WORD形式 を開き書き込む
  注) 申請苗は全て検疫を受ける施設で栽培、接木されたものであることが必須。
6) 輸出許可申請説明書 2通
  ヒナ形を参照して作成。
7) 販売証明書 2通
  相手、輸入者からのサイン入り注文書 コピー可
8) 誓約書 2通
  ヒナ形を参照して作成。
9) 運送手段説明書 2通
  ヒナ形を参照して作成。自発的に写真2枚添付
10)輸出貨物の写真リスト
  自発的に全商品の個別写真リストを提出 2通
11)栽培場の写真 2通
  自発的に作成提出 商用として大量に栽培していることを印象付けの為

以上、誤字、不足書類などなければ1週間以内に輸出承認申請許可書輸出CITES申請許可書(有効期限3ヶ月)が届く。

第三に行うこと;
輸出CITESの合格書類が届いたら即、相手輸入者宛にこの合格書を画像メールで送付
相手国の輸入CITESを取得してもらいます。取得期間 1ヶ月 輸入CITES申請許可書が出されたら即、こちらへ画像メールで送付してもらいます。(輸入CITESの有効期限は1ヶ月)

第四に行うこと;
輸出承認申請許可書、輸出CITES申請許可書、輸入CITES申請許可書の3通を持って植物防疫所へ行き植物等輸出検査の許可書をもらい、4通の許可書を持って同ビル内にある税関へ行き内容物の事前検査受ける。合格を受けると梱包箱に封印されて完了となる。

第五に注意すること;
平成21年2月16日から輸出しようとする貨物の合計金額が20万円を超える場合、通関手続きが改正されました。郵便事業(株)に委任し(無料)次のものを郵便物と一緒に提出、税関の許可を得ねばなりません。
1) 通関委任状 (様式は郵便物の引き受け窓口で受理)
2) インボス (様式は郵便物の引き受け窓口で受理)
いずれも作成は申請者が行い輸送後、2〜3日で輸出許可書が発給されます。又、輸入国によっては関税が30パーセントもかかるケースがあるので輸入者との価格設定の打ち合わせが必要だと思います。

これで全てが完了です。
面倒だと諦める人、意外に簡単だと感じる人、まちまちでしょうが、私の場合、輸出CITESの申請は書類の作成に1日。輸入CITESの許可が1ヶ月(相手側の作業)
植物防疫検査が1週間に一度の検査(5分程度)が9週間 したがって最低合計9週間 63日間はかかります。この63日間の間に輸出入CITESの申請・許可を受ければ良いのです。

申請費用は全て無料(CITES用指定用紙 50枚 1,600円のみ)ですが、少量の取り引きは経費倒れです。
慣れれば意外と楽ですよ。

By 彩仙園 佐伯須美博